ヘモ・ヘルニア日帰り手術クリニック
胃腸内科/大腸・肛門外科/内科/麻酔科

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肛門科

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実力医の履歴書

実力医の履歴書 外科系Ⅰ
(平成18年9月)
完山泰章院長が紹介されました。

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痔の種類

痔の三大疾患といえば、1.いぼ痔(痔核)、2.切れ痔(裂肛)、3.あな痔(痔ろう)です。
それぞれまったく違う病態で、治療法も異なります。

いぼ痔
いぼ痔
切れ痔
切れ痔
あな痔
あな痔
 

痔核(いぼ痔)

痔の疾患で最も多いのがこの痔核です。痔疾患の約半数を占めます。
痔核の場所によって内痔核と外痔核に分類されます。症状も痛みが中心のもの、出血が中心のもの、脱出が中心のものと多彩です。症状に合わせて治療も多種あります。下記に述べるのは症状ごとの代表的な疾患ですが、実際にはこれらの症状が組み合わさっていることも多いです。

痛みが中心のもの

血栓性外痔核
肛門の外縁(ふち)に痛みを伴うしこりを認めます。中には血栓とよばれる血豆があります。
治療は保存的治療(薬の治療)、血栓除去手術等です。
痛みを伴うしこりには他に、下記に述べます内痔核かんとんや肛門周囲膿瘍等がありますので自己判断せず
診察を受けて診断してもらって下さい。

内痔核かんとん
脱出性の内痔核が脱出したまま戻らなくなり、うっ血し腫れと痛みを伴います。
治療は腫れがひくまでは保存的治療(薬の治療)です。

出血が中心のもの

出血性内痔核
排便のたびに出血する。時に便器が真赤になるほどの鮮血が出ることもあります。最近では脳梗塞の予防、心筋梗塞の予防等で抗凝固剤(血液が固まりにくくなる薬)を服用されている方も多く、長期にわたって出血が続いている方もおみえになります。治療は保存的治療(薬の治療、生活習慣の改善)、ALTA療法【ジオン硬化療法】、輪ゴム療法、手術などです。

脱出が中心のもの

脱出性内痔核
脱出の程度により、4段階に分類されます。進行するとⅠからⅣ度に進んでいきます。
Ⅰ度 排便時に出血するが、痔核の脱出はない。
Ⅱ度 痔核が排便時に脱出するが、排便後は自然にもどる。
Ⅲ度 痔核が排便時に脱出するが、排便後も自然にもどらないため指などで押し込まないともどらない状態。
Ⅳ度 排便時以外でも常に脱出する。指で押し込んでももどらない。常に脱出している痔核から粘液がしみでる。

治療は、段階に応じて保存的治療→硬化療法→輪ゴム療法→PPH→手術等となります。Ⅲ度以上は手術の適応となることが多かったですが、最近はALTA療法【ジオン硬化療法】の出現で、一部の症例では手術せずに治療することができるようになりました。

 

裂肛(切れ痔)

便秘で硬い便が出る時、肛門がこすれて切れた状態です。だれでも一度は経験したことがあると思います。意外と思われるかもしれませんが頻回の下痢でも切れ痔はできます。症状は痛みと出血で、治療は排便習慣の改善と薬による治療が中心です。何回も繰り返し、慢性化すると肛門狭窄(肛門が狭くなること)となることがあり、その場合は手術が必要となることもあります。

痔ろう(あな痔)

痔核に次いで多く、女性より男性に多い疾患です。痔ろうは肛門内から、主に肛門の外の皮膚に膿のトンネルができる状態です。前段階として発熱とともに肛門の周囲に痛みを伴うしこりが出現し、膿が形成されます(肛門周囲膿瘍)。その後、膿が排出されますと熱発、痛み、腫れなどの症状は軽快しますが、その後も膿のトンネルが残った状態が痔ろうです。肛門周囲膿瘍の人がすべて痔ろうに移行するわけではありませんが、半数以上の人が痔ろうになるといわれています。

治療は肛門周囲膿瘍の状態では切開して膿を出すことが必要です。ごく初期の状態では抗生物質の内服で治癒することもあります。また、痔ろうに移行した場合は手術が必要となることが多いです。手術は、入院して行う方法(切開開放術、括約筋温存術)では約10日間の入院が必要です。膿のトンネルにゴム糸を通して徐々にしめていき開放していく方法(シートン法)は外来手術(日帰り手術)が可能ですが、治癒までに数ヶ月必要となります。

痔の予防

予防で一番重要なのはやはり便通異常の改善です。便秘、下痢は肛門に最も負担がかかります。また、排便時のいきみも肛門にはよくありません。長時間立ちっぱなしや座りっぱなしもうっ血して肛門に負担がかかります。また、食生活も重要で、過度に辛いものやアルコールは便通に影響をおよぼしますので摂りすぎに注意しましょう。痔は生活習慣病のひとつともいえます。生活習慣の改善によって便通異常を改善し、肛門への負担をできるだけ減らしましょう。

ALTA療法【ジオン硬化療法】

ALTA療法【ジオン硬化療法】は、脱出を伴う内痔核にジオン注とよばれる注射剤(硬化剤)を投与することで痔核を縮小し、脱出や出血を改善する治療法です。これまで手術が必要とされていた痔核の一部に対しても有効で、治療時間はわずか10~20分程度で、外来治療(日帰り手術)が可能です。内痔核を切らずに治すとよばれる所以です。
この治療法は「四段階注射法」という独特な手法を用いた特殊な投与技術が必要であり、決められた手技講習会を受講した専門医しか実施できません。
当クリニックでは日帰り手術で「ALTA療法【ジオン硬化療法】」を施行しております。

ジオン注はひとつの痔核に対して図のように4か所注射をします。

ジオン注はひとつの痔核に対して図のように4か所注射をします。

 

投与した部分が次第に小さくなり、癒着・固定して出血、脱出がみられなくなります。

注射後は痔核へ流入する血液の量が減り出血が止まります。脱出の程度も軽くなります。
多くの方が注射後翌日には出血、脱出の症状の軽快を認めます。

その後は投与した部分が次第に小さくなり、癒着・固定して出血、脱出がみられなくなります。

 

 

教えて!ドクターQ&A

現在妊娠8ヶ月です。以前から痔があったのですが妊娠中に大きくなってきた気がします。痛みはありません。このまま様子をみていていいのでしょうか。

【中日新聞 2015年9月8日 掲載】

妊娠によって痔が悪化することはよく知られています。痔の手術をうけた経産婦の調査では妊娠、分娩で痔が悪化した症例が全体の72%もあったとの報告もあります。妊娠で悪化する痔は主に内痔核(いぼ痔)ですが、原因としては妊娠による子宮の増大で血管が圧迫され血流がうっ滞すること、同じく子宮の増大による腸管の圧迫による排便障害、妊娠ホルモンによる充血等が考えられています。特に妊娠中は便秘傾向になりがちなので肛門に負担がかかるのと、出産時の怒責でさらに痔が悪化することが多いです。妊娠中は痔の手術治療は原則としてできませんのでおもに坐剤等の治療と便秘改善などの生活指導が中心となります。妊娠中に症状が悪化しても出産後数か月たつとほとんどの症状が改善されてきますので質問者の場合も少し様子をみてもいいと思われます。

先日大腸の内視鏡検査をしましたところ大腸憩室症といわれました。特に自覚症状はありません。治療しなくてよいのでしょうか。

【中日新聞 2015年5月12日 掲載】

大腸憩室は大腸の壁の一部が袋状に突出した状態をいいます。食生活の欧米化や人口の高齢化により本邦でも年齢とともに増加傾向にあり80歳以上では50~60%に達すると報告されています。大腸憩室自体は特に症状がなければ治療する必要はありません。患者の80~85%は無症状のまま生涯を過ごすといわれています。主に治療が必要となるのは憩室に炎症が起きる憩室炎や憩室から出血する憩室出血です。憩室炎は腹痛、発熱、嘔気、嘔吐といった症状を伴い、抗生剤の点滴等で改善することが多いですが穿孔したりして腹膜炎になると手術が必要となることがあります。憩室出血は無症状で突然の下血で発症することが多く大腸内視鏡で診断および治療を行います。以前に検査で憩室があるといわれた方で上記のような腹痛や下血などの症状で病院を受診した際は診断に有用ですので憩室がある旨を担当医に伝えるようにしましょう。

半年くらい前から腹痛と下痢が時々ありました。先日肛門に痛みが出たので病院を受診したところ痔瘻と診断されました。その際クローン病による痔瘻といわれました。クローン病とはどんな病気でしょうか。

【中日新聞 2015年1月21日 掲載】

前回の潰瘍性大腸炎と同じく炎症性腸疾患(IBD)と呼ばれるクローン病は、小腸や大腸に潰瘍を形成する慢性の病気です。10~20歳代に多く男女比は2対1です。主な症状は腹痛、下痢、体重減少、肛門の病変です。クローン病に伴う肛門病変は肛門に潰瘍を形成したり、皮膚がむくんで腫れたりして独特な所見を呈します。潰瘍から痔瘻になることがあり、肛門科を受診して初めてクローン病と診断されることもあります。クローン病が疑われますと大腸内視鏡検査や小腸造影検査などで診断を確定します。クローン病の痔瘻に対する治療は坐剤等の薬物療法を主としますが必要に応じて手術治療をします。痔瘻そのものの治療よりその原因となる肛門潰瘍の治療、すなわちクローン病の治療が重要となります。治療は栄養療法と薬物療法が中心ですが長期にわたって治療の継続が必要です。

以前から時々お腹の痛みと下痢がありました。先日下痢便に血液が混じっていたので心配になり近くの病院で大腸内視鏡検査をしたところ潰瘍性大腸炎といわれました。どんな病気でしょうか。

【中日新聞 2014年9月17日 掲載】

潰瘍性大腸炎は20歳代の若い方を中心に発症する疾患で大腸に慢性の炎症が生じる病気です。男女比は1対1でわが国には13万人以上の患者さんがいます。クローン病とともに炎症性腸疾患(IBD)と呼ばれており特定疾患に指定されています。原因は不明で下痢、腹痛、血便が主な症状です。よく似た症状となる感染性腸炎などと鑑別したうえで大腸内視鏡検査、組織検査などで総合的に診断をしていきます。この病気には症状が改善や消失する寛解期と症状が継続する活動期があります。治療は内科的治療(薬物療法)が主体ですが寛解期を維持するのが目標で、そのためには継続的な内科治療が必要です。再燃と寛解を繰り返す疾患のため症状がなくなり調子いいからといって薬をきちんと服用しなかったりすると再燃しますので薬をきちんと服用すること(服薬遵守)が大切です。

若いころから腸が弱く、ストレスがかかるとすぐ下痢をしたり腹痛がでたりします。大腸内視鏡の検査を一度しましたが異常ありませんでした。先生からは過敏性腸症候群といわれました。どんな病気でしょうか。

【中日新聞 2014年5月25日 掲載】

前回の機能性ディスペプシア(FD)は主に胃の症状が主体ですが、同様に大腸の症状が主体で大腸内視鏡などの検査で異常がないにもかかわらず、腹痛や腹部不快感などの腹部症状や、下痢や便秘などの排便異常を慢性的に繰り返す疾患を過敏性腸症候群(IBS)といいます。排便で症状が改善したり便の回数や性状の変化により症状が改善したり悪化したりします。有病率は13%との報告もありまれな病気ではありません。IBSの原因としてはFDと同様に消化管運動障害、内臓知覚過敏、心因性因子(ストレス)等が考えられています。治療は生活習慣の改善や食事療法、消化管運動機能調整薬等が主体となりますが、心因性因子が強い場合は抗不安薬等の服用が有効なこともあります。症状が多彩なので担当医とよく相談してご自身に合わせた治療をしてもらいましょう。

先日便秘となり排便時にいきんだら出血しました。真っ赤な出血で痛みはありませんでした。これって痔の出血でしょうか。

【中日新聞 2012年10月7日 掲載】

肛門からの出血にはいろいろな原因がありますが、出血の性状からあるていどの推測はできます。出血が真っ赤な鮮血であれば肛門から近いところからの出血ですし、色が黒っぽければもう少し奥からの出血です。痛みとともに出血があり、紙につく程度の出血であれば裂肛(切れ痔)の可能性がありますし、内痔核(いぼ痔)からの出血ですと痛みもなく便器に垂れ落ちるくらいの出血となることもあります。粘液や下痢便といっしょに出る出血では出血性腸炎や潰瘍性大腸炎の可能性があります。また、どのような性状の出血であっても常に大腸がんやポリープなどの腫瘍性病変の存在の可能性を考えねばなりません。痔と他の疾患が併存することもありますので痔があるからといって安易な判断は禁物です。このように肛門出血にもさまざまな原因がありますので自己判断せずに診察をうけましょう。

先日便秘で排便時にいきんだら翌日から肛門にしこりができ、痛みがあります。
すぐ切った方がいいのでしょうか。

【中日新聞 2012年6月12日 掲載】

肛門部に急にできるしこりで一番多いのは血栓性外痔核です。これは肛門の縁に小豆から大豆くらいのしこりができ、内部に血栓とよばれる血の塊ができたものです。出血は稀ですがかなりの痛みを伴います。ほとんどが薬で治癒しますが場合により切除(血栓除去術)が必要です。次に多いのは肛門から少し離れたところが腫れて痛くなる肛門周囲膿瘍です。これは肛門の中から細菌が入り肛門の周囲に膿(うみ)を形成したしこりでほとんどが切開が必要となります。他には内痔核が飛び出て戻らなくなった痔核のかんとんがあります。これは内痔が出ているので出血、痛みを伴います。この場合は薬でいったん腫れをとったのちに場合により痔の根治術が必要となります。このように同じしこりでもいろいろなタイプがあり、治療方針も異なります。自己判断せず早めに診察をうけましょう。

おしりは常に清潔にするようにしていますが、少し前から入浴時におしりがかゆくなることがありました。石鹸でよく洗うのですが最近はかゆみがひどくなり、夜間、無意識のうちに掻き壊してしまいます。何が原因でしょうか。

【中日新聞 2012年2月9日 掲載】

おしりのかゆみの原因にはいろいろありますが、最近多いのは「温水便座症候群」とよばれるウォッシュレット使い過ぎや、トイレットペーパーでの拭き過ぎ、入浴時に石鹸での洗い過ぎなどにより肛門皮膚の正常なバリア機能が壊れてしまい、保温機能が低下し皮膚が乾燥することで誘発されるかゆみです。掻き壊すことで皮膚炎が増長し、さらにかゆくなるという悪循環になってしまいます。おしりを清潔にすることは重要ですが、それが度をこすと逆効果となりますので注意しましょう。その他にはカンジダなどの真菌性、ぎょう虫などの寄生虫、ウイルス性、細菌性、あるいは便やナプキン、消毒薬などによるかぶれなども原因となります。治療は原因により異なりますが感染性でなければステロイド外用剤を使用します。拭き過ぎ、こすり過ぎ、洗い過ぎなどの習慣の改善も重要です。

90歳になる母は、以前はよく一人で散歩にも出かけていたのですが、最近は咳をしたりすると肛門から5cmくらいのしこりが出て便がもれたり、下着が汚れたりするらしくあまり外出しなくなりました。どのような病気でしょうか。

【中日新聞 2011年10月18日 掲載】

肛門からしこりが出る疾患には、いぼ痔と呼ばれる内痔核が脱出する場合や肛門ポリープなどがありますが、お母様の場合は5cmくらいのしこりとのことなので直腸脱の可能性もあります。

直腸脱とは直腸が肛門から脱出する疾患で、高齢者の女性に多く、肛門の周りの筋肉が弱くなることが大きな原因の一つといわれています。5cm前後の直腸の脱出が多いですが20~30cmの直腸が脱出する方もみえます。直腸脱に似た疾患もありますので、まずは病院で診断してもらって下さい。直腸脱となるとお母様のように便がもれたり、下着が汚れたり、残便感が出たりして不快な症状が出現するため外出もしなくなったり、日常生活を制限したりする方もみえます。

治療は手術が基本ですがいろいろな術式がありますので年齢や生活環境に合わせて治療を選択しましょう。

2年ほど前に突然おしりの周りが急に腫れ、破れて膿(うみ)が出てきました。その後は膿が出たところがにきびのようなしこりとなり、時々血や膿が出ます。このまま放置してよいのでしょうか。

【中日新聞 2011年6月23日 掲載】

ご質問の方の疾患は痔ろうと思われます。あな痔ともよばれ痔の三大疾患ひとつで男性に多い病気です。一般的には痔ろうになる前にまず肛門周囲膿瘍(こうもんしゅういのうよう)とよばれる状態になります。これは肛門から細菌が進入し肛門の周囲に膿が形成された状態です。

腫れと痛みが強く多くの場合発熱もします。通常は痛みが激しいのでみなさんこの時点で病院に来られ、そこで切開して膿を出します。まれに質問者のように自然に破れて膿が出る方もいます。その後は半数近くの方は膿が出て炎症がおさまり治癒しますが、残り半数以上の方は切開した部位から膿が出続けます。この状態が痔ろうです。

痔ろうになりますと自然に治ることはないので手術が必要です。痔ろうには膿の通り道の形でいろいろなタイプがあり治療方法も変わってきますので早めに一度診察されることをおすすめします。

便が硬くて時々肛門が切れるような痛みがあり出血もあります。以前は2,3日ですぐよくなったのですが、最近は痛みがずっと続いています。まだ様子を見ていてもよいでしょうか。

【中日新聞 2010年6月29日 掲載】

ご質問の痔はおそらく切れ痔(裂肛)と思われます。

切れ痔は痔の3大疾患の一つですが、どなたでも一度は経験したことがあるくらいなじみのある痔疾患です。
通常は切れ痔となっても数日で軽快しますし、痛みも排便時だけです。
便秘でいきんだりしなければ繰り返すこともありません。ただし、慢性化しますと難治となります。
繰り返し切れ痔になりますと切れたところに潰瘍ができます。
そうしますと痛みも増強し、排便後にもジーンとくる痛みが数時間続きます。
さらに、肛門の入り口に見張りいぼと呼ばれるいぼができたり、奥に肛門ポリープとよばれる突起ができます。そのためいぼ痔と勘違いされる方もいます。
このような状態になると薬ではなかなか治らず手術となることもあります。

切れ痔だからといって放置せず、症状が続く人は早めに診察をうけましょう。

以前から便をするとおしりからいぼが出てきます。最近は排便後に自然に戻らないので指で押し戻しています。
早めに治療したほうがいいのでしょうか。

【中日新聞 2010年3月17日 掲載】

ご質問のいぼはおそらく内痔核のことと思われます。
いわゆるいぼ痔とよばれるものです。

内痔核は進行の程度で4段階に分けられます。
最初は出血のみ(I度)なのが、やがて排便時に脱出するようになりますが排便後は自然に中に戻ります(II度)。
さらに進行すると自然には戻らなくなるので指で戻さなくてはならなくなります(III度)。
そしてついには排便時以外でも脱出するようになります(IV度)。
ご質問のいぼ痔はII度からIII度へ進行した状態と思われます。
内痔核の治療は一般にはII度までは薬物療法が中心ですが、III度以上ですと何らかの処置、手術をしたほうがよいとされています。
内痔核の治療も最近ではALTA(ジオン注)硬化療法などの新しい治療法があり、切らずに治療ができ、また病院によっては日帰り治療も可能です。

先日、お腹をこわして下痢をした翌日に急に肛門のまわりにいぼのようなしこりができました。
痛みが強く座るのも困難です。中へ戻そうとしてもすぐ出てきてしまいます。どうしたらよいでしょうか。

【中日新聞 2009年12月22日 掲載】

ご質問の疾患はおそらく血栓性外痔核と思われます。
これは急にできるいぼ痔で通常強い痛みを伴います。

いぼの中には血栓とよばれる血豆のような血のかたまりが形成されており、急激に大きくなります。
原因は、長時間座っていた、おしりが冷えた、排便時いきみすぎた、お酒を飲みすぎた、ひどい下痢をしたなど肛門へストレスがかかることで血栓が形成されることとされています。治療は薬で治す方法と手術で血豆をとりさる方法があります。
痛みが強いときや早く治したいときは手術がすすめられます。
約10分くらいの手術で日帰り手術が可能です。どちらの治療法でもいずれいぼは縮小または消失し、慢性化することはありません。
注意したいのはいぼができる似た疾患に内痔核かんとんというのがあり治療方法が異なりますので専門医に診察してもらうことをお勧めします。

以前から痔で悩んでいます。完治したいと思うのですが、仕事が忙しく手術、入院のための長期の休みがとれません。
手術はどうしても必要でしょうか。また、痔の治療でも日帰り手術は可能でしょうか。

【中日新聞 2009年8月18日 掲載】

痔には大きくいぼ痔(痔核)切れ痔(裂肛)、あな痔(痔ろう)の3種類がありますが、あな痔以外は手術以外の治療法でも症状はかなり改善します。

最初に生活習慣、排便習慣の改善などの治療法からすすめて、そのうえで薬物療法を行います。それでも症状がとれない場合はそこで初めて手術を考えます。いきなり手術となることはまれですのでご安心下さい。また、手術も根治性を保ちつつ、より体に負担の少ない方法(低侵襲手術)がありますのでご質問のような日帰り手術も可能です。

痔の治療も最近は痔の状態のみならず、患者様の生活背景にまで考慮した治療がすすめられています。
質問の方のような休みがとれず入院治療ができない方にも日帰り手術という選択肢があります。
ぜひ一度専門医と相談してご自身の生活にあった最適な治療法を選択して下さい。

便秘がちで便をするときよくいきみます。このごろでは便をするたびにいぼのようなものが出るようになりました。
いぼ痔の治療も最近では切らずに治す方法があると聞きました。どのような治療法でしょうか。

【中日新聞 2008年12月17日 掲載】

脱出するいぼ痔(内痔核)の治療というと以前は手術療法が中心でした。
“切除(手術)”=“痛い”というイメージがあるかと思いますが、最近ではより痛みの少ない治療として、特殊な器械をもちいて直腸下部の粘膜を切除し、痔をつりあげるPPH法や硫酸アルミニウムカリウム・タンニン酸液(ジオン注)という硬化剤を内痔核に注射することで脱出や出血を治す硬化療法が可能になりました。特にジオン注による硬化療法は痔核を切除することなく治療できるため、痛みが少なく、病院によっては日帰り手術も可能です。

しかも従来は手術でしか治せなかった重度の内痔核にも効果があるため近年急速に普及してきました。切らずに治す治療法といわれるゆえんです。ただし、痔核の状態には個人差があるため、どれが適切な治療かはひとりひとり違いますので、専門医と相談のうえ最適な治療法を決めるのがよいでしょう。